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富岡市で谷面戸の貼り付けと、鬼瓦廻りの漆喰詰めと、棟瓦の銅線縛り直し工事をしました。初めのお問い合わせは工事した現場の娘さんからでした。漆喰工事のお見積りを概算でいいから知りたいとの事で、お電話をもらいましたが色々話してる内に、何やら実家に飛び込み業者さんが来て、お母さんが屋根危ないよ~漆喰やった方がいいよ~など言われて、娘さんが心配になりその金額が適正なのか知りたく、お電話くれたみたいです。なので当社ではまず、その工事自体がそもそも必要なのか、そして金額はどうなのか調べる為に現場調査に行かせていただきました。
まず気になったのは棟瓦の銅線がほとんど切れていて、鬼瓦廻りの漆喰が劣化してる事でした。
最低限そこはやっとくべきだなと感じましたが、飛び込み業者さんが来て屋根の上を見ていった時に、瓦の下に鳥の巣が作られてると言われたそうで、調査していると谷付近に確かに巣があったので、谷面戸を貼って鳥除けをする提案をし、金額もかなりかけ離れてたそうなので、任せてもらう事になりました。屋根の谷とは、外壁が入隅なるヶ所の屋根において、流れが合うところに設ける谷状の部分を指し、雨水を排出する役割をしているので谷樋と呼んだりもします。
写真の窪んでる部分が谷です。持ちの良いステンレス製の谷板金が使われていて築30年以上経つお家なのに、まだピカピカ光っていました。増築したと言っていたので、その時にやり直したのかもしれませんが、それにしても綺麗な状態でした。
そこへ面戸と呼ばれる隙間を塞ぐ部材を貼り付けていきます。今回使用する谷面戸は、スポンジタイプで谷板金に対して粘着させるようにし鳥はもちろんのこと、害虫や雨水などの侵入を防ぐ目的があります。
谷際の瓦を一旦剥がします。そうすると昔のお家なので既存の葺き土が出てきます。それをどかしくっ付きを良くする為に谷板金の埃を一度綺麗に掃き隙間を塞ぐように面戸を貼っていきます。屋根の勾配や形状によりますが、足場を組まないで出来ますし、一日かからず工事は終わるので安い金額で施工できます。
鳥除けを付け終えたら次に細かい作業に移ります。谷際の瓦は斜めにカットして葺かれており、支えは桟木に少し引っ掛かってるのと、番線や銅線等で上に引っ張ってあるだけなんです。その線が切れたり劣化して弱くなっていたので、ついでなので縛り直します。まず、インパクトドライバーのビットを穴空け用のキリに変えて、瓦に小さな穴を空けます。
そこへ、ステンレス製の銅線を通し瓦同士を結び付け、ズレたり歪んだりしないように補強します。せっかく鳥除けの為に面戸を設置したのに、瓦がズレて隙間ができたら元も子もないので、こうした事まで徹底してやります。
次に鬼瓦廻りの施工ですが、新しく”なんばん”という漆喰を詰めるというか、塗るので既存の劣化した漆喰を撤去していきます。
鬼瓦と丸瓦の隙間がしっかり見えるまで取り除きます。なんばんは暖かい日であれば数時間もすれば固まってくるんですが、開封前は柔らかいので少し塗りずらいです。なので、ちょっとした工夫なんですが朝一、現場に着いたらまずなんばん漆喰の袋を開封しておきました。そうすれば作業してる内に、程よく固まってきて、詰めたり塗る頃にはちょうど良い固さに硬化し始めてるんです。
朝一で封を開けといたなんばんを詰めて、鏝で綺麗に塗っていきます。漆喰は年数が経つと、やがて白を使っても黒になりますし、持ちは変わらないのに白より黒の方が値段が安いので黒のなんばんを使いました。鬼瓦廻りだけ傷んでいて、何故か棟の漆喰は綺麗な状態でした。
鬼瓦廻りと、ついでなので棟瓦の取り合い部分も塗り直しておきました。なんばんには特殊なシリコンや、防水材が混入されていて瓦同士の密着性が高まるので今ではほとんどなんばんを使います。
なんばん漆喰塗りが終わったら、銅線の作業に移ります。既存の棟に縛ってあった銅線が、ほぼほぼ切れていたり緩んでいたので、新しいステンレス製の強度の強い物で巻き直してあげます。だからと言って、すぐに崩れたりする訳ではありませんが、住んでるお客さんからしたら不安になりますよね。熨斗瓦の出っ張り部分に銅線を引っ掛け、熨斗瓦と丸瓦ごとクロスするように固定します。施工はこれにて終了になります。今回、破格の価格で工事し、お客さんも安心してくれましたが屋根は人で表すと頭にあたります。とても大事な部分ですし、それこそ人と一緒で早期発見がカギになってきます。今回みたく何か起こる前に手をかけてあげ、定期的にメンテナンスをしてあげてください。
工事のきっかけ
実家に飛び込み業者さんが来て、お母様が色々指摘され、その工事の内容と金額が適正なのか娘さんが心配になり、お問い合わせくださいました。